どうも!管理人の免疫大魔王です。
世の中には、一見、何の変哲も無さそうな物が実は凄い役割を担っていたということがよくあります。
テレビや映画で言う役者に例えると、最近よく言われるようになった「名バイプレーヤー」という存在でしょう。
虫垂はそんな名バイプレーヤーの一つであり、実は重要な役割を担っているのが虫垂(盲腸)なのです。
虫垂と言えば、虫垂炎(盲腸炎)を起こしてしまった場合、まず例外なく手術で切り取られてしまうもの。
炎症を起こして切り取られてしまうものなら、別にそんなに大事なものではないのだろうとボクはつい最近まで思っていました。
でも、実は虫垂には大変重要な役割があったのです。
今回は、一見何の役にも立ってなさそうに見えていた虫垂の役割についてお話していきます。
Contents
とっても重要!虫垂の機能や役割

虫垂はIgA抗体を出すための重要な役割
虫垂と言えば、盲腸の一番下にぶら下がっているひょろっと伸びた小さな部分です。
一般的には「虫垂炎=モウチョウ」と呼ばれているため「盲腸」と呼んだほうが馴染みがあるかもしれませんね。
今までは「無駄な臓器」と言われていた虫垂ですが、実はとんでもない「名バイプレーヤー」だったのが分かってきたのです。
マウスを使った実験で得た虫垂の役割
大阪大学の教授の竹田潔さんの研究グループの研究によりますと、※IgA抗体と虫垂には深い関係があることが分かっています。
※IgA抗体とは
外敵の侵入を防ごうと働く粘膜免疫ですが、粘膜面で主体的に活躍している免疫物質があります。それが「IgA」抗体です。抗体とは、侵入してきた病原体にくっついて、これを無力化するように働く免疫物質。タンパク質でできており、免疫グロブリンとも呼ばれます。
IgAは、特定のウイルスや細菌だけに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に反応する(くっつく)という、守備範囲の広さが特徴です。
IgAが低下すると病気にかかりやすくなります。このことは、上気道感染症(風邪)の発症と唾液中のIgA濃度の関係を調べた研究でも確かめられています。同時に、IgAが低いときは、疲労感も高まっています。
なお、母乳にはIgAが特に多く含まれており、赤ちゃんを感染から守っているのです(下コラム)。
出典:大塚製薬
上記の説明の通り、侵入してきた病原体を無力化するのに役立っていますが、最近の研究では、腸内の有益な腸内細菌の働きを助け、腸内フローラの多様性に大きく役立っていることが分かっています。
また、生まれたばかりの赤ちゃんはIgA抗体をつくることが出来ません。
でも、お母さんが与える母乳の中にIgAが含まれているため、母乳中のIgAによって感染症から守られているのです。


IgA抗体こそが、粘液層の腸内細菌を導く主役なんです。
IgA抗体は、細菌にくっつくしくみを持っています。
但し、くっつく細菌を選んでいるので、IgA抗体がくっついていない細菌は粘液層に入ることができませんし、IgA抗体によって表面を完全に覆われてしまった細菌は、逆に増殖することができず身動きできなくなるため、粘液層に棲むことができなくなるのです。

くっつく細菌を選べる賢い免疫物質なのはわかったけど、くっつく腸内細菌を選ぶ基準は何で決まっているの?

実は、IgA抗体が細菌を選ぶ基準は、私たち人間の遺伝子の中に書き込まれていると考えられているんです。
私たち人間の進化の過程で、人間にとって良い働きをする菌を選ぶようにIgA抗体も進化を遂げてきたと考えられているのです。
ただ、腸内フローラは人によって千差万別であり、腸内フローラには個人差があります。
実は、同じ人間でありながらなぜ、人によって腸内フローラに違いが生じるのかは、今回のテーマである名バイプレーヤーの虫垂が大きく関係しているのです。
無菌マウスを使った研究で分かった虫垂とIgA抗体の関係
虫垂とIgA抗体の関係は、無菌マウスを使った研究によって分かっています。
無菌状態で育ったマウスには、IgA抗体を出す白血球がほとんど存在しません。
但し、無菌マウスを菌がいる環境に移すと、IgA抗体を出す白血球が急激に増えていきます。研究グループでは、無菌マウスの虫垂を切除してから同じ実験を行いました。
結果、虫垂を切除されたマウスは菌がいる環境に移ってもIgA抗体を出す白血球がうまく増えないことが分かったのです。
また、最終的に定着する腸内フローラのバランスが大きく乱れることも明らかになりました。
引用文献:やせる!若返る!病気を防ぐ!腸内フローラ10の真実 ”無用の長物じゃない!「盲腸」は腸内細菌のための重要な臓器”
虫垂の中には白血球が集まる大事な場所であるリンパ組織があり、ここで白血球は腸内に存在する腸内細菌の種類をインプットし、腸内細菌に合ったIgA抗体を作れるようになるのです。
虫垂炎で虫垂を切除してしまった人はどうなるの?

虫垂が無いと、IgA抗体が作れないよね?

ボクもそう思ったのですが、ヒトがある程度成長してからは、すでに白血球がインプット済みですので、大丈夫なようなのです。
また、幼少の時に盲腸を切ってしまっていても、白血球が腸内細菌のことをインプットするリンパ組織は小腸にも存在しますので、IgA抗体を全く作ることができないというのではないようなのです。
また、虫垂炎を起こしても、炎症が軽度であれば、抗生物質を投与するなどの保存治療で虫垂を温存することもできるのです。
但し、虫垂炎の治療は切除が原則であり、手遅れになることで重症化すると死亡の危険性があるのです。

ただ、現代の医学では虫垂炎は原則切除が基本のようですので、もし虫垂炎に罹ってしまった場合は、けっして自己判断せずに医療機関に相談しましょう。
まとめ

今回は目立たないけど、体内で有効な働きをする名バイプレーヤーの虫垂のお話をさせていただいですが・・・。

でも虫垂ってよく思いついたわね。

普段の生活のなかから出てくる疑問などを大事にしなければいけないと改めて感じました。

私も頑張らなくっちゃ!
あとがき
当サイトのような健康ブログの場合は、時として記事にする話題に行き詰まることが多々あります。
そうなるとどんなに一生懸命ネタを考えても絶対に思い浮かびません。
今回の虫垂のお話もそうなのですが、無理をして話題を探すのではなく、普段の生活のなかから常に考えたり、想像したりすることを繰り返しすことで勝手に話題は生まれてくるものなのです。
かしこい免疫物質だわ!